イランに行ったらツラかった話 ⑦

 

今回私が体験したトラブルは

私のように見た目と性別が一致しないことと

イランの文化、決まりごとの

「女性はスカーフで髪の毛を覆う」

が不遇にも?相性がピッタリで起きた事。

 

 

そんなことない方々は

素晴らしく美しいモスクと

素晴らしく親切なイラン人との

とても良い思い出ができるハズ!

私にも親切にしてくださるイラン人がいるのだから。

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旅の最後にテヘランで、珍しく高級ホテルに泊まった。

バスタブで疲れた体を温めたかったし

残ったキャッシュを使い切りたかった。

 

と言っても対外貨の物価が急落しているイランでは1泊5000円!

 

そしてイラン最後のディナーをするため

このホテルのレストランでメニューを見たら…

突然飛び込んできた”organic chicken”の文字!

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しまったーーー!

トラブルに全力投球でオーガニック見るのすっかりマジで完全に忘れてたぁ〜!

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またこのチキンがすっごく美味かった!!

 

チェックアウトの時に聞いたらオーガニックの店ちゃんとあるらしい…

次回見るか…と思いつつ

 

次回?……私、またここ来るの??

イランに?

と自問自答しつつ

ホテルで手配していた空港までの車に向かった。

 

何やら議論中のドライバーとホテルのスタッフ。

 

 

「スカーフ被ってください」

 

へ?

「男は被らないでしょ?」

 

「うん。そうだけど、近くに警察いるから被って」

 

「いや、持ってないから被れない」とお断り。

 

 

 

 

今まで聞いたイラン人全員に

「男なら被らなくていいよ」

と言われ続け、それがイラン人の考えと理解し、

その上でさんざん色々大変だったのに…

最後の最後に被れとか、そんな簡単に言われるなんて…

 

…しばし、呆然

 

 

 

この時は運良く警察はスルーだったけど

大変だった思い出を胸に

黄昏ながらイランを後にしようと思ってたのに

私は深夜、空港に向かう車中で

気持ちの置き所が定まらず、ずっと混乱。

 

 

まぁ〜なんというオチ!

笑っちゃうよ。

 

 

 

 

 

イランに行ったらツラかった話 ⑥

 

今までの話でイラン人のイメージ悪くなるといけないので、超親切エピソードを綴ります!

 

2度目に通報された時に感じたけど

辛い経験をさせてくれるのも

それを助けてくれるのもイラン人で

すんごいツンデレ感満載でしたが 笑

 

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ホテルの人、チャイハーネやレストランの人、

買い物するお店の人とか本当に親切な国だった。

というか私がヒジャーブが必要ない人なんだと理解してくれた方が親切にしてくれたのかも。。。。

 

 

イランは日本のようなスーパーマーケットがあまりなく

バザール(いわゆる市場)や路上で果物なんか買うのが普通なんだけど

値段の交渉が難しい。

なぜならイランは私たちが使う123の数字ではなく、ペルシャ語独自の数字だから。

全然理解できない笑

でもそういう時にパッと英語ができる親切な人が現れ、値段の交渉もしてくれて

適正な金額で購入できるようにサポートしてくれる笑

そして、パッと笑顔で去っていく。

そういうヒーローのような方がたくさんいる。

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長距離バスターミナルでバスチケット買おうと思って

カウンターで並んでいたら

またどこからかパッと英語ペラペライラン人が現れ

どこ行くの?とバス会社に交渉してくれた。

しかも違う会社が次出発のバスと聞けば

建物違うのに、わざわざ別会社のカウンターまで連れて行ってくれて一緒に交渉してくれた。

質問も全部ペルシャ語に訳して間に入ってくれる。

そしてこの方、嘘でしょ〜〜?!と思うくらい

もんのすんごい美しい顔のイラン人男性でついうっとり、、、

 

もうね、顔が甘〜いの。

まつ毛のとっても長いアーモンドアイ、グリーンの瞳で

笑ったら口元の歯が輝いてた。

最後、ありがとうと言って握手で別れたけど、ついでにハグも願いします!と思った笑

なんならバスの出発までデートでもよかった〜〜!

でも、パッと去っていっちゃうんだよね笑

 

 

本当イラン人て親切!

あんなイヤな話したら説得力ないけど。

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ちなみにイラン人は本当に美しい顔の方、多かったです。

好みもあると思うけど。

思ったより眉毛繋がっている人多くなかったなぁ。

 

 

 

 

 

イランに行ったらツラかった話 ⑤

 

そもそもイラン入国のイミグレでさえ

パスポートチェックが終わった後に「あなたMadame?」と聞いてきた。

 

え?!パスポートの性別欄の「M」は「Male」の「M」でしょ?!と思ったが。

 

イミグレから荷物を受け取るターンテーブルに行くまでの間も

散々空港職員に質問され

みんな「(パスポートの)これってMademeのMだろ?」と聞いてくる始末。

 

中にはとても差別的な言葉で茶化すヤツまでいた。

他の職員にたしなめられてたけど。

 

唯一の頼りになる身分証明書であるパスポートでも性別の証明にはならないとわかったので

ホテルの方にペルシャ語でカンペを書いてもらった。

それでも完璧な証明にはならなかったけど、ないよりマシ。

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「私は女性ではありません。パスポートの性別「M」は男性と言う意味です」

 

 

今回の旅はイランだけでなく、乗り継ぎの関係もあり

トルコ、UAE(アブダビ)、アゼルバイジャンにも行き空港を利用した。

たまたま全部イスラム教の国だったこともあってか

今まであまり気にしていなかったけど、ボディチェックを受けるときに

男性は男性職員が、女性は女性職員がすることになる。

イスラム教以外でも、まぁそうか。

 

イスラム教の国は異性が異性の体に接触するのは有り得ないことなので

私はちゃんと女性じゃないよと申告した。

ここでもなかなか理解してもらえず、いちいち本当に大変!

嘲笑され、ボディチェック必要なのにされずにスルーされることもあった。

明らかに差別。

不必要なボディタッチをされたこともあったと私は思ってる。

そんなに強くて触らなくていいし、そこ必要?みたいな。

これは抗議すべきだったな。

空港側も改善が必要だと思う。

 

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ちょっと話がイランからそれたが、正直に言おう。

LGBTQ+の方。

特に実際の(パスポート記載の)性別と見た目の性別が伴わない方は

イランに行くことを私はおすすめできない。

パスポート性別が男性、女性以外で「X」や「0」の表記できる国もあるが

そういうパスポートの方はどうしたらいいんだろうか。

悲しいけれど差別は酷いとしか言いようがない。

私はとても、とても辛かった。

かなり深く傷付いたよ。

 

 

 

イランに行ったらツラかった話 ④

 

ここまで書いといてなんですが

実は警察に通報されるよりも精神的にキツかったのは街の人の反応でした。

 

まず空港に降り立った段階でものすごい目線が私に集まった。

ジロジロ見られるレベルではない。

 

私はこんなナリなので日本でも普段からよく見られてるが

慣れているはずの私が耐えられないくらい。

笑顔とか好意的な目線は全く、感じない。

 

 

ショックだったのはじっと見てきた小学1、2年生くらいの女の子に視線を合わせたら目を逸らされたこと。

見てはいけないモノを見ているように。

隣にいたお母さんと話してたから、きっと

「あんな風に、はしたないことしてはいけません」とでも言われたのかなぁ

 

街を歩けば向かって歩いて来る人に見られる、見られる、見られる。。。

観光地にいても、観光で見るべきものより私を見てる。

 

人通りの多いところでもほぼ全ての人が私を見てる。

もう、、ホント心が折れそうになる

気軽に街を歩けない。

 

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ちょっと慣れてきた頃、観察してみたけれど

(女なのにヒジャーブをしていないから)

はしたない者を見る差別的な目線

あの女ヒジャーブつけてない!的な

 

ヒジャーブ着けてないから男なのかな、、とか

単に珍しそう、

男かもと気付いて笑われる

ゲイだとわかって茶化してくる、、、

など色んな風に見られてることがわかる。

 

悲しいことだけど普段の経験上、大体の反応はわかる。

 

電話しながら微笑んできたから、ニコっと笑顔返したら電話相手に

「イヤ〜見られちゃった〜」とばかりに大声で笑って走り去られたり

 

数人のグループになれば「ねぇねぇあれ見て」と指差され、こそこそ笑われたり。

文字通り「後ろ指さされる」って このこと 笑

 

男数人で私の後ろを付け回すとか、すごく厄介な人達もいた。

 

 

親切に「スカーフつけないといけないですよ」と声をかけてくれる人もいる。

「女性ではありませんよ」と返して、理解してくれる人も

理解せず不躾な視線を残して去る人も。

 

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ただ

”女性に見えても男ならスカーフで髪を覆わなくても良い”

というのはイラン人の共通認識らしいことはわかった。

 

 

 

 

 

 

 

イランに行ったらツラかった話 ③

 

2度目に通報されたのは、シーラーズ。

 

俗に言う「ピンクモスク」に行った帰りのこと。

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 きれいでしょ?

 

バザールに向かう途中で立ち寄った広場で休憩しようとチャイハーネ(喫茶店)を探していた。

 

モスクが奥に控える広場で土産物屋も並んでる。

 

 

ふと年配の男性から「スカーフを被りなさい」と注意を受けた。

英語が通じそうだったのでいつもの通り「女性じゃないんです」と切り返す。

やっぱり理解してもらえず、この男性徐々にエスカレート。

「ポリス呼ぶ」とおもむろに電話を取り出す。

警察呼ばれても言うこと同じだし、きちんと証明すればいいだけだら

「どうぞ」とジェスチャーで伝えた。

 

すると周りの人たちが「ナニ?何?どうした?」と通報者の周りに集まってきた。

多分「女性なのにスカーフつけてないから警察呼んだ」とでも言ったのだろうと思い

私は「女性じゃないんですぅ」と集まる人たちに説明をしていたのだけれど、、、

 

徐々に人が増えていき

広場でお店をやっている人、お客さん、モスクに立ち寄った地元の人、通りかかった人、、

気付いたら周りには100人以上はいると思われる人がガーーと集まってしまい

すごい人だかりに。

 

大勢の人がすごく大きな声で、通報者を中心に私を指差しながら話をしてる。。。

決して良い表情ではない周りを見て途端に不安になってくる私。

ふと涙が流れてしまった。

ヤバイ、事がコトなら連行とか逮捕とかあり得る…

 

 

人混みの中から、英語ペラペラな土産屋の男性が手を差し伸べてくれ私も事情を説明。

女性ではないことがやっと伝わった。

この方が周りに状況説明してくれ、どうやら多くの人が理解してくれたらしい。

 

この助けてくれた男性曰く

「この人(通報者)バカなの。いつもツーリストに絡んでトラブル起こしてる」

そして

「髪が長くて女性に見えても

   君が男ならスカーフを被る必要なんてない。

 どんな髪型をしたってそんなの君の自由だし

 他人が君の容姿に口出すなんて単に余計なお世話だよ

    大丈夫。安心して。

    あいつ以外ここにいる人みんな君の味方だから」

この方の優しさとまともな人権感覚に、安堵の涙が出てしまう。

 

事情を理解した周りの人は私に向かって

大丈夫、安心しろと笑顔で親指を立て、ジェスチャーで伝えてくれる。

通報者の背後からその親指を下に向け

「こいつ頭おかしいから」というジェスチャーをする人も笑

 

スカーフを被っていないことではなく

”女性にしか見えない髪の長い男”が許せなかったのだと思う。

 

 

こんなやりとりがしばらく続いた後、警官がバイクでやってきた。

助けてくださった男性が

「経緯を話して。僕が警察に通訳するよ」と言ってくれるが

集まった人達が勝手に事情を話してくれてる笑

警官は私にニコっとしただけであっさり解決。

何も聞かれず、パスポートチェックもなく、すぐに立ち去ってしまった。

 

 

私が警官に言ったのは「サラーム(こんにちは)」だけだった。

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通報者は納得いかない様子で周囲に抗議を続けていたが

もう君は大丈夫だから、行っていいよと、助けてくださった男性に言われ

握手とありがとうをしっかり伝え、早々にその場を離れた。

周囲の方にもありがとうと手を振りながら。

 

最後に彼は

「こんなことになってしまって、こちらこそ申し訳ない」とまで言ってくれた。

本当にいい方だった。

 

 

 

イランに行ったらツラかった話 ②

 

実際に警察にお世話になったことを綴ります。

 

 

1度目は首都テヘランの地下鉄駅で。

地下鉄に乗るため階段を下りていたら、向かいから登ってきたピンクの髪した女の子と金髪でメイクしたゲイの男の子にすれ違いざまに声をかけられた。

彼らはイランでは相当な異端児。

私を見てパッと「仲間」と判断したらしい。

イランでは私たちのような見た目では全く受け入れられないの。イラン人どうかしてるわ。

日本ではどう?あなたの国が超〜羨ましい。

とかしばらく話をしてた。

階段に立ち止まっていたので人の邪魔になっていたのはわかってたけど

彼らの話は止まらなかった笑

 

親しげに話していたのに、急にbyeと言って立ち去ったので

あれあれイラン人で結構ドライ〜と思って振り返ったら

階段の下に通報人と思われる方と警察官が、、、

こっちを指差して話ししてる。

 

ヤバっと思い立ち去ろうとしたけど、こっちに来いと手招きされた 笑

目立つ3人が通行人の邪魔してたらそりゃそうか。

 

地下鉄駅の交番のようなところに連れて行かれ

英語が話せない警察官はしきりに頭をスカーフで覆うようジェスチャーで知らせてくる。

「あのー、私女性じゃないんです」と英語で切り返す私。

 

案の定通じないので、ジェスチャーを何度も繰り返す警官。

こんなことを想定してホテルの方にペルシャ語で書いてもらったカンペをパスポートとともに見せた。

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「私は女性ではありません。パスポートの性別「M」は男性と言う意味です」

 

意味がわからない様子。

どうやら完璧女性と思われているらしく、疑いの余地もないらしい。

 

らちがあかないので、英語話せる方を呼んでくださいと伝えるが伝わらず。

iPhoneの翻訳アプリでやっと伝わる。

 

程なく一般人なのか警察関係者かわからないが私服の男性がやってきて

ヒジャーブ被らないとダメと警官言ってるよと伝えてくれる。

「それはわかってるけど私、女性じゃないんです」

と話すもやっぱり理解してもらえない。

この方にもカンペとパスポートを見せたら

「あなた女なの男なの?」と言われる。

「いや、だから女じゃないって!」と伝えてようやく

「あぁ、この人男なんだ」と納得してもらう。

 

男ならヒジャーブ必要ないね。とやっと解放。

 

 

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イランに行ったらツラかった話 ①

イラン最高だった〜!超楽しかった〜!

 

 

...と本当は話したかった。

でも、今回の私の旅はとてもツライ旅になってしまった 笑

 

 

 

いや、一応イランを誤解しないよう先に言っておく。

最高に美しかった。マジで。  

ぜひみんなに見て欲しい!

 

 

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ツライ旅になったのは私の属性の問題です。

大概の方は楽しい旅がきっとできるはず。

 

何がツラかったって、、ただ観光しているだけで

善良な?イラン国民より警察に2度通報され、警察のお世話になりました。

いや〜日本でもお世話になったことないのにね。

そして2度目は大騒動になってしまいマジで逮捕されるかも、と一瞬頭をよぎった。

 

そんな話です。

 

 

 

イランはイスラム教の国なので、女性は例え旅行者であっても髪の毛を覆う、ヒジャーブが必須。

女性は、ね。

 

私は一応戸籍上やパスポートなど、身分証明書は性別欄が”男性”と表記されてますが

見た目はかなりフェミニン。

しかも今はたわわで艶やかなロン毛。

ヒゲも生えません。

かなり痩せていて、骨格、声もあまり男性らしさがないため

かなり高い確率で女性に見られます。

日本から出るとなおのこと。

セクシュアリティを明かすと、自分では男でも女でもないと思ってる。

と言うか性別は放棄したい。

男が好き。

ちなみにイランでは同性愛行為は死刑の可能性もあります。

 

そんな私なのでイランに行こうと思い立った時には

今回のトラブルは実は容易に想定できていました。

「あいつ、女性なのにヒジャーブつけてない!」というトラブル。

無用なトラブルは避けたいので、現地で反応を見ながら

ヒジャーブは着けようかとイランに入国するまでは思っていたけれど

海外経験豊富な友人のアドバイスや、

唯一頼りにできる身分証明書のパスポート性別欄にはMale(男性)の「M」が書かれているわけなので

最悪のケースを想定してヒジャーブは付けず

生まれたままのピュアな姿で旅することにしました。

その判断で至るところで1日1回はトラブルに巻き込まれることになったけど

死なずに帰ってきたということで、旅を終えた今としてはとりあえず良しとする 笑

 

 

 

 

次回に続きます...